三途の川のお茶屋さん
「……馬鹿を言うでない。儂の存在などほっぽり出して二人の世界に浸っておったくせに」
頬にボンッと朱が昇る。
それは単純に、二人の会話の応酬の中で語られた軽口に違いない。
けれど当事者の一人としては、それを言われてはぐうの音も出なかった。
とんでもない赤っ恥に、私は内心でもんどりうった。
「コホン。ところで神威様、俺はタツ江婆を頼むとお願いしたはずですが? タツ江婆が濡れ髪を貼り付けて妖怪の如く川面から上がってきた時は凍り付きました」
しかも漏れ聞こえる神威様という名は、天界の最高権力者の御名だ。
そうして私は、かつて神威様に会っている……。
羞恥に困惑までもが加われば、混乱が極まって、本気で火でも出てきそうだった。