三途の川のお茶屋さん


「いやはや、あれには儂も驚いた。だが儂はタツ江の苦悩を知っていたからな、任せてくれと言われれば、とても手出しなど出来んかったよ」

とはいえ、神威様はすでに私と十夜の色事など気にもしていない様子で、今はタツ江さんについてどこか懐かしそうに語る。

天界の最高権力者である神威様は、タツ江さんに対して知るところも、思うところも多いようだった。

「タツ江……、そなた本当に男を見る目がない」

神威様は宙を見上げ、切ない瞳で呟いた。

その瞳から、その声から、ありありと滲むのはタツ江さんへの隠し切れない熱い思い。

そして神威様がタツ江さんに向ける思いは、天界の最高権力者としての気配りの範疇を逸脱した、もっと個人的な思いだ……。

「神威様……」



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