三途の川のお茶屋さん
けれど蓋を開ければ、悟志さんはとうに亡くなっていて、それと知らぬ内に私は悟志さんを見送っていた。
今はもう、それを悲しいとは思わない。凪いだ心で見上げたお天道様に、優しい過去に変わった悟志さんの新たな生を祈った。
「そうか」
「はい」
後ろにぴったりと寄り添う十夜に、トンと頭を預ける。十夜が優しい手つきで私の頭を撫でる。
触れる温もりに、伝わる慈しみ。
十夜と共にある今が、そしてこれから先にある未来が、何ものにも代え難く愛おしいーー。