三途の川のお茶屋さん
だけど、温かさと優しさは、勝るとも劣らない。
涙は治まるどころか、その勢いを激しくした。
「……十夜、……ありがとう」
「幸子、人はいつか命を散らす。けれどそれは新たな生の始まりで、決して悲しむばかりではない」
三途の川に暮らして、私は生き死にの理を知っている。お母さんはまた生まれ、そして誰かのお母さんになるのだろう。
「それでも、弔いは死者の魂を彩る。だから今夜は、俺に聞かせてくれないか? どんな母上であったのか。生前の母上を偲び、母上を悼んで過ごそう」
十夜の大きな優しさが、深く沁み入るようだった。
お母さんの死だけじゃない、十夜の深い優しさもまた、私の胸を詰まらせた。
「うん、うん十夜……」