三途の川のお茶屋さん
……ご、御用聞きをどうしよう!? そもそもメニューを英語で説明なんて、そんな高等スキルは持っていない!!
私の心の中は、相変わらずの大忙し。誰か、助けてーーっ!!
「とりあえず団子の盛り合わせと、煎茶をお願いします」
んっ!?
ギョッとして、金髪青目のお客様を思わずガン見!
「あぁ私、日本語も大丈夫よ?」
! それ、早く言ってよぉぉぉぉ!!
「お嬢さん、きな粉とあんこはたっぷりのせて頂戴ね?」
思う事や言いたい事もあったけど、それらを口にするには既に心がガリガリと削られて、消耗しすぎていた。
「……か、かしこまりました」
なので素直に了承し、ふらふらとした足取りで厨房に向かった。
うぅぅ、だけど結果としては有難い。英語なんて、学生時代の講義で習ったのが最後だ。それだって今となってはもう、うん十年と前の話だ。
けれど厨房に戻って、ふと疑問に思った。
……異国のお客様って、そもそもここじゃないよね??
ごくりと唾を飲み込んだ。
どう考えてもこれは、アクシデントだ。
私は手早く団子と煎茶の提供を済ませると、急いで十夜を呼んだ。