Love season

墓地へ着くと空はオレンジ色になっていた。

彼のことを探す。

と山の中腹にあるお墓の前で座って手を合わせている真先輩の姿があった。

「いた......」

私はゆっくりと彼に近づく。

真先輩はあの時と同じような悲しそうな瞳をしていた。

「なんで来た」

と手を下ろして真先輩は冷たく私に言った。

「あなたに言いたいことがあったから」

「俺に学校サボってるんじゃねぇって言いに来たのか?」

「違います」

「じゃあ、こいつについてか」

と真先輩はお墓の方を見た。

「いいえ」

「まぁ、なんにしろあいつらが余計なことを言ったんだろ」

「そうですね。あなたを助けるようにって言われました」

と私が言うと真先輩は少し驚いたような顔をしてこちらを見たが、突然笑い始めた。

「助けるか、こいつのこと見捨てたくせに」

と真先輩は笑うのをやめた。

座っている彼の表情は私からは見えなかった。

「見捨てたわけじゃないですよ」

私がそう言うと真先輩はいきなり立ち上がり怖い顔をして私の方を見た。

「なんでお前がわかったようなことを言うんだよ!」

彼は今までに聞いたことのないような声で私に怒鳴った。

「あの人たちは今でも後悔しています。助けたくても助けられない時はあるんですよ」

私は私のことを睨んでいる真先輩を真っ直ぐ見た。

「それは言い訳だ」

と言って真先輩は目をそらした。

「言い訳でもないし、今一番逃げているのはあなたですよ。そんな風に目をそらして」

「なにっ」

「勝手に私にその人の面影を重ねて、傷つけたくないからって逃げて。あなたが一番、目をそらしてる」

「お前に何がわかる!」

「っわかりません。だけど私はあなたを助けたい!」

「なんでそんなに知らない俺のことを助けようとするんだ!」

この人は何もわかっていない。
< 12 / 39 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop