Love season
「今日も来てたのか」
「はい」
私は中庭の桜の木の下にあるベンチに座りながら本を読むということが日課になっいた。
そして、毎日彼もここに来る。
私たちは何をするわけでもなく、同じベンチに座っているだけだった。
時々する会話も大したものではなかった。
「お前、俺なんかといて大丈夫なのか?」
「どうしてです?」
「俺はまともに授業にも出てないし、告白も冷たく断るって悪い噂ばっかりだからな」
彼からそんなことを言われるとは思っていなかった。
「心配してくれてるんですか?」
少しからかってみる。
「そ、そんなんじゃねぇし」
と先輩は動揺しているようだ。
なんだかその反応が可愛い。
「大丈夫ですよ、私たちは同じベンチに座ってるだけで友達でもなんでもないですし」
自分で言って胸が苦しくなる。
なんでこんな風に言っちゃうんだろう?
「そうだよな」
と先輩は小さく呟いた。
何その反応?
もしかして、少しは寂しいとか思ってくれただろうか。
そうだったら嬉しいんだけど。