今日も君につままれ包まれる
今日はツイてる?!

お父さんとお母さんが高校生の時の入学式は桜が満開の頃だったなんて言っていたけれど、それから何十年か経った娘の晴れの日。



出かける時盛大にお尻からすっ転んで見えたのは、何処までも青い空だった。



それなのにいつの間にか太陽は雲と共に隠れ曇り空。
校門やその前に続く道の桜も散りつつある。




「はぁ...引っ越したらリセットされるなんて思ってた私はバカだった...」




私、村治幸葉(むらじ ゆきは)はこの春から新しい土地で高校一年生を迎える。




昔からーーー物心ついた時からの不幸体質で、心霊とかそういった類の話は信じていないけれど...

最近、これはもう幽霊のせいだと認めざるを得ないと思っている。



だって...狙ったように物が私に落ちてくるし、私の部屋だけ電気が着いたり消えたり。


金縛りもほぼ毎日起こり、珍しく無い日は「あれ?こないの?」と日常化している。
他にも挙げきれないほどある。



友達や家族は「そんなの偶然でしょ」とか、「大丈夫よ」と笑って終わらせる話だけど、そんなの当人にならないと深刻さは分かるはずがない。



(それに何だかこっちに来てから本格的に“見える”ようになってきてるんだけど...)




入学式が始まる二週間前に引越してきたその日から、所謂幽霊の様なのがハッキリと見えてきた。




(寧ろこっちに来てから不幸体質が強くなってる?!)




転勤族な三人家族の村治家は、今まで色々な土地に引越して過ごしてきたけれど...ここが一番危ないかもしれない...。





「...ねぇ、お父さん。転勤命令とか出たりしてない?」




「なんだ幸葉。面白い冗談言うなぁ〜さすがに引越して二週間で転勤はないよ。」




「大丈夫よ幸葉〜。すぐに友達出来るわよ。だって私達の自慢の娘よ〜。じゃ、パパとママはあっちの保護者席に行くから行ってらっしゃい。」


母が自慢げに言った後、二人で「ねぇ〜パパ(ママ)」とシンクロする始末。






そんな熱々な両親を見送り、
「...はぁ、憂鬱。」

と思わず溜め息がこぼれた。






友達が出来るかも不安って言ったら不安だけど...どうか。








神様。何度もお願いしてるけど、平穏な日々をお願いします!
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