御曹司は恋の音色にとらわれる
マスターはいつも演奏前にステーキを持ってきてくれるが、
演奏後、訪れた事は一度もない。

少し困った顔つきをみて、クレームでもあったのかと身構える。

「どうしました?マスター」

「もしかして、苦情?」

同じ事を考えたのだろう、中條さんも不安気に、
マスターに声をかける。

「いや、演奏はいつも通り、最高だったよ」

その言葉に胸をなで下ろしつつ、
ではどうして?と中條さんと顔を見合わせる。

「これ、例の彼から」

マスターが差し出したのは一枚の紙。
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