御曹司は恋の音色にとらわれる
帰り、事務所に挨拶して、また電車に乗る。

帰りは行きしと違い、席が空いており、
2人とも座る事ができた。

「今日は、いい体験ができたよ」

「それはよかったわ」

「ヴァイオリンってクラシック以外も演奏できるんだね」

しみじみ言う彼を、微笑んで見る。

「これで無罪放免ね」

「え?」

「罰だったでしょう?」

「あ、そうか・・・ありがとう」

そのまま、しばらくして、五十嵐さんは寝てしまった。
寝顔もイケメンでかっこいい、どんな顔でも良いって、
美形は特だなと思う。

指長いな・・・

そう思って、そっと手に触れる。
すると、いきなり心臓がばくばく言いだした。


え、何?


胸が高鳴り、どきどきする。

事務所で挨拶して抱きしめられても、間接キスしても、
何も思わなかったのに・・・・

『好き』その言葉が頭の中で木霊した。
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