御曹司は恋の音色にとらわれる
「拓様は大変おもてになります」

俯いて肯定する。

ルックス、肩書、性格。
全てが良ければ、世の女性がほおっておく訳がない。

「拓様は、美華様とお付き合いをする為に、
 拓様にアプローチしていた全ての女性を断られました」

最初出会った時、2か月待ってと言っていたのが、
この事だと分かる。

女の子のアプローチを断るだけで2か月かかるのも凄いが、
こうやって、きちんとしてくれて、
拓に気がある女性が、私にちょっかい出さないよう、
牽制してくれたのだと思い、ますます拓への思いを熱くする。

「でも、内心面白くない女性もいます、
 いくら五十嵐家の人が認めたとは言え、
 関連会社、取引先の令嬢が、余計な事をすると、
 拓様にとってマイナスになりかねない。

 美華様には、ヴァイオリンがあります、
 それで演奏して、今だ虎視眈々と狙う令嬢を、
 黙らせて欲しいのです」
< 72 / 102 >

この作品をシェア

pagetop