御曹司は恋の音色にとらわれる
「話は分かりました、でもいいのですか?」

「どうゆう意味です」

「貴女も拓の事、好きなのでは・・・」

そう言うと、笑顔を張り付けていた顔が、
驚きと苦しみに歪む。

「ずっと、美華様の事を聞かされてきました、
 クラシックのチケットを手配したり、
 休日のゴルフの予定をキャンセルしたり」

そのまま俯いて、しばらく黙る、
手を握り締めているのが、痛くないか心配な程だった。

「貴女が嫌いです」

顔を上げ、はっきり言う。

「2人が出会うずっと前から好きでした。
 誰より、拓様を理解して、サポートして、
 私が拓様の一番近い存在だと思っていました。
 なのに、そうじゃないって思い知らされましたから」
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