想い花をキミに
大切にしていた思い出がまた一つこの手からこぼれ落ちていく。

壊れたガラス片から隼太へと視線を戻すと彼の頬を一筋の涙がつたうのが見えた。
その涙の理由は私。
傷ついた彼の痛みが全身に伝わってくるようだった。
耐え切れなくなって私は荷物を抱えて部屋を飛び出した。

ごめんなさい、ごめんなさい。

心の中でいくら謝ったところで隼太に伝わるはずなんてないのに、何度も繰り返し謝った。
涙が溢れて止まらなかった。
それでも立ち止まることなんてできなくて、人気のないところまで走った後には過呼吸で息ができないくらいになってた。

すれ違う人が私の方を振り返るけど、そんなのも気にせず泣く。
隼太の涙が浮かんできて胸が苦しかった。
大好きな人を手放すことがこんなにつらいなんて思わなかったよ。

家の近所まで戻ってくると、近くの空き地のベンチに座りまた泣いた。
枯れることなんてないんじゃないかと思うほど涙が出た。

隼太に会いたい。会って嘘だよって伝えて抱きしめたい。

叶うことない思いだけが浮かんできて、私はただこの涙が尽きるまで泣くしかなかった。17歳、初めての失恋。

乱雑に足元へ投げ置いた私の荷物が、紙袋から飛び出して道路に散らばっていた。




















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