想い花をキミに
「え!いいの??」

「いいも何も前から普通に泊まってただろうが。」

そうだけども。泊まるのと一緒に暮らすのは全然違う。
ずっと同じ場所で生活するわけで、


「前から考えてたんだ。あの家に帰すのは心配だなって。」

「そうだよね。」

忘れもしないあの出来事。
私はあの人が連れてきた男の人に乱暴されそうになった。

今はあの男はもう来ていないみたいだし、あの人もどういうわけか男を連れ込むことがなくなったから、私はまたあの家に帰って生活する日々を送っていたのだけれも……

「急に男の人を連れ込まなくなったの。」

ここ2か月くらいの事だ。
あの事件があって以来、私は極力家には帰らないようにしていたし、帰ったとしてもあの人たちがいない時間を狙って自分の部屋に入り、ドアの前に箪笥を置いて絶対にドアが開かないように気を付けてきた。

もう二度とあんなことがないように。

「そっか。それはよかったな。」

「そうだけど……」

疑問に思わないはずがない。
あんなに頻繁に連れてきていたのにどうして急にって。


その謎が解けたのは、もうしばらくしてからだった──。
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