社宅は社長の家の2階でした【佳作受賞】
「先日は、せっかくのご厚意を踏みにじる
ような事をしてしまい、申し訳ありません
でした。」

部屋に入るなり、修努は頭を下げた。

私も並んで、頭を下げる。

「話は、娘から聞きました。
どうぞお掛けください。」

満井社長に促されて、修努が席に着く。

私はこの間と同じように、後ろに控えた。

「そちらの秘書さんも、お掛けなさい。」

満井社長に言われて、私は修努を見る。

修努が頷いたので、私は修努の隣に腰を下ろした。

「娘が言ってました。
安井くんの秘書さんが、安井くんの長年の
想い人だと。
本当ですか?」

修努は私の顔を見てから、答えた。

「はい。」

「でも、そちらの秘書さんは、うちの娘との
話に乗り気だったように見えましたが。」

「それは… 」

修努は、机の下で私の手を握った。
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