社宅は社長の家の2階でした【佳作受賞】
「私の幸せを考えて、身を引く覚悟をして
くれたんです。
浩子さんは素敵なお嬢様ですが、私には、
彼女しかおりません。
大変、申し訳ありません。」

修努が頭を下げるので、私もそれに習った。

「分かりました。頭を上げてください。
実は、今日は、お願いがあって、お呼び立て
しました。
そちらの秘書さん、なんておっしゃい
ましたかね?」

「佐倉のどかと申します。」

私は初めて口を開いた。

「佐倉さん。
佐倉さんは、例え、自分の恋人の縁談で
あっても、冷静に判断してサポートができる
素晴らしい秘書です。
私は、大変感銘を受けました。
つきましては、ぜひ、私の秘書に迎えたい。
どうでしょう?
佐倉さんを私の秘書に譲っていただけたら、
御社への投資をしましょう。」

私たちは顔を見合わせた。

「せっかくのお話ですが」

「社長。」

私はまた修努の話を遮った。

修努は、断るに決まってる。
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