社宅は社長の家の2階でした【佳作受賞】
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19時。

個室で2人、待っていると、取引先の社長さんがいらっしゃった。

私の父と同世代だと思われるその人は、おそらく私より低い身長で、ややお腹の出た人の良さそうなおじさんだ。

修ちゃんが、挨拶をする。

「こんばんは。
いつもお世話になっております。
今日は、貴重なお時間を割いていただいて
ありがとうございます。

彼女は、昨日からうちで働いてもらってる
秘書の佐倉です。
紹介がてら、連れて参りましたので、同席
させてください。」

「佐倉と申します。
よろしくお願い致します。」

私は、名刺を出し、お辞儀をする。

「早野です。はじめまして。」

名刺交換を終えると、

「安井さん、こんな美人秘書がいつも
一緒だとは、羨ましい限りです。」

とお世辞で褒めてくださる。

私は無言で会釈を返す。

すると修ちゃんは、

「私もそう思います。」

と答えると、優しく微笑んで私を見つめた。

え? これは何?
何か思惑があってやってるの?

いつもと違う修ちゃんに戸惑うが、同様を悟られないよう、努めて平静を装う。
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