決して結ばれることのない、赤い糸
わたしの背中を、カズはずっと擦ってくれた。


まるで、行き場のないわたしの想いを受け止めてくれるかのように。



「かりん!」


脳裏に浮かぶのは、わたしを呼ぶ隼人の姿。


そんな隼人が好きで好きで、大好きで。

隼人と付き合えることになって、本当にうれしかった。


わたしたちの赤い糸は、ずっと前から結ばれていたんだと思った。


――だけど。


その赤い糸が一瞬にして切れてしまうだなんて、想像もしていなかった。

わたしの小指に結ばれた赤い糸は、もう隼人とは繋がってはいない。


わたしの知らない…どこか遠くへ行ってしまった、隼人。



中学2年生の…春。

わたしは、胸が張り裂けそうなほどの別れを経験した。
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