決して結ばれることのない、赤い糸
この緊張感を共有できるような友達も、まだ周りにはいない。


周囲は、「あの人が新入生代表か〜」とでも言いたそうな顔で、わたしを物珍しそうにして見ている。


恥ずかしくて、席に戻ってからもうつむきがちだったけど、チラリと斜め前に目をやると――。


ピースサインをわたしに向ける、1人の人物が…。

優奈だ。


その優奈のすぐ近くには、ブレザー姿の大きな背中が見える。

カズだ。


優奈もカズも、同じ天川高校に進学した。

しかも、同じ1年1組という奇跡。


中学1年生と2年生は同じクラスだったけど、3年生ではバラバラなった。


名簿順で並んでいる今は遠いところにいるけど、また同じクラスになることができた。



――天川高等学校。

家からは、電車に乗って片道1時間ほどのところにある。
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