決して結ばれることのない、赤い糸
「…ごめんなさい!大丈夫ですか…!?」


すぐに、尻もちをついている男子生徒に駆け寄った。


こんな下校時間前に、わたし以外にまだ校舎に生徒が残っているとは思わなかった。


…どうしよう。

思いきりぶつかってしまったけど、ケガ…してないかな。


わたしは、その人の体を抱き起こそうとした。


――すると。


「大丈夫、大丈夫!1人で立てるよっ」


そう言って、お尻をはたいて立ち上がった。

わたしは頭を下げる。


「…急にぶつかってしまって、ごめんなさい!」

「俺のほうこそ、ちゃんと前見てなくてごめんねっ」


てっきり怒られるかと思ったけど、その人は優しく対応してくれた。


そもそも廊下を走っていてわたしが悪いのに…。


「べつになんともないから、顔上げて?」


その人になだめられて、わたしはゆっくりと頭を上げた。
< 146 / 320 >

この作品をシェア

pagetop