別のお話。
※※※
赤く舗装された道を、両脇にある家と家との間を抜けて庭に松の木が植えられている一軒家の前で止まる。
表札の『旗野』という名前を確認してから背筋を伸ばして大きく息を吸う。
ーピンポーン
「はい。どちら様でしょうか?」
インターホンからシヅキのに似た落ち着いた声が聞こえてきた。
「初めまして。北本と言います」
「あらあら、もしかして春人くん?ちょっと待ってね」
シヅキのお母さんに会ったことがないのに俺を知っているという事はシヅキが散々話してたんだろうと容易に想像がついて少し緊張が解れる。