爽やかくんの為せるワザ

友達だけど








そうして迎えたテスト最終日。





「……いつもと変わんねぇよ」


「あれ、勉強会の成果出なかった?」





はあーっと大きく溜息を漏らす沙羅ちゃんに、桃ちゃんはにこにこと笑って近寄った。



クラスメイトは皆「やっと終わったー」と嬉しそうに声を上げる中、重そうな空気を背負っているのは沙羅ちゃんだけのようだ。





「赤点取りそう?」


「……いや、それはねぇと思うけど」


「ならいーじゃん。ね、たま」


「そうだよ沙羅ちゃん!ちゃんと勉強してたし、意外と出来てるかもよ?」


「……珠姫〜」





私に寄り掛かる沙羅ちゃんは弱そうな声を出す。



……相当疲れたんだろうか。

あの沙羅ちゃんがここまで弱ってる。





「頑張ったね沙羅ちゃん」


「珠姫……ほんとにマイナスイオン製造機だな」


「せ、製造機?」


「あはは、何言ってんの沙羅」




わいわいと3人で盛り上がっていると、視界の端に背の高い人物が入った。


そちらに視線を移すと、それが佐賀くんだったことに気付く。



佐賀くんはこちらを向いて、何か言いたそうにおどおどしていて。


私は話している沙羅ちゃんと桃ちゃんから少し離れて、佐賀くんに近寄った。






「佐賀くん?どうしたの?」


「あ……成瀬さん……」





首に手を当てて俯く佐賀くんに、私は首を傾げる。

とても言いにくそうにしている。



……どうしたんだろう。




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