爽やかくんの為せるワザ




「絶対たまちゃん勇気出して言ってくれてるだろ、それ。なのにお前ってやつは……」


「……傷つけたよね、これ」


「まあ、傷ついてないことはないだろうな。かわいそうに、たまちゃん……。

藍もまさかこんなに鈍感だとは」


「……」




1つ言い訳をすると、俺もあの時は平常心を保つのでいっぱいいっぱいだった。


今は勉強会中って何度自分に言い聞かせたか。

意識しないわけがなかったんだ。


……でも、それで珠姫ちゃんのこと傷つけてたなら絶対駄目だ。




「俺……珠姫ちゃんのこと大切にするって決めたのに」


「なあ、その〝大切にする〟って具体的にどーいうことなわけ?」


「……え?」


「確かに付き合ってすぐ手を出すっていうのは聞こえも悪いし大切にしてないってなりそうだけど、実際お互いがちゃんと合意の上なら俺はいいと思うんだよ。

大切にするっていうのは、身体もそうだけど気持ちのことも考えてあげてこそじゃね?」


「……」




俺は呆然とカツを見つめる。


カツの言う通りかもしれない。

大切にするって、俺の判断の上で言ってるけど……それが本当に珠姫ちゃんを大切に出来てるかなんて分からない。


珠姫ちゃんを大切にするなら、珠姫ちゃんの気持ちを尊重するべきだよね。


……珠姫ちゃんが合意してくれてるっていう前提で話しちゃってるけど。


< 279 / 311 >

この作品をシェア

pagetop