ラジオ越しのあなたと
今の時刻、8時。


予定通りに駅の近くのコンビニについたが、まだ愛梨の姿は見えない。



高校からもらったプリントをもう一度見る。


9時00分から入学式…よし、大丈夫だ。


慣れないローファーに慣れない服、高校生ぽくってワクワクする。


愛梨まだかなぁ…と思っていると愛梨らしき人が姿を現した。


「あっ、あい…」


と名前を呼ぼうとしたら、愛梨の斜め後ろに見たことのある制服を着た男子高校生が歩いていた。


「あ!!」


よく見ると、合格発表の時のあの綺麗な男の子だった。


嘘、あれは幻覚じゃなかったの?!


待って、今日会えたのは奇跡中の奇跡!もう会えないかもしれない名前だけでも聞きかせて!


と思い追いかけようとしたら、男の子は人混みの中に消えてしまった。


また消えちゃった。せっかく会えたのに…


まだそこら辺にいないかなと探してみると、横から誰かに押された。


「どこみてんのよ。私はこっちよ。」


愛梨だった。


「いやー、ちょっと綺麗な男子高校生がいてさ。」

と私が照れ臭そうに言うと、


「綺麗な男子高校生?!どこどこ??!」


と、愛梨が興奮気味に言ってきた。愛梨は、面食いだから食いついてくると思った。


「愛梨の斜め後ろにいたよ。」


「うっそ、名前でも聞いとけばよかったー。」

ほんと、私と同じこと考えるよね。


「さ、早く行こう。」


まだいないかと探している愛梨を引っ張りながら私たちは高校へと向かった。


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