待ち合わせは5分以内に
「唯華、ありがとう。さっきの、凄く嬉しかった。」

前を歩く唯華にそう告げると、彼女は振り向いて照れくさそうにはにかんだ。

「言っとくけど、お世辞なんかじゃないからね?私みたいなのより紫乃の方がよっぽどステキよ。」

急に真面目な顔をするもんだから何かと思ったら、さっきと同じ事を繰り返す唯華。
彼女には私の心を読む力でもあるんだろうか。
思わず苦笑いをこぼす。

「私さ、こんな性格でしょ?愛想悪いし、口も悪い。だからこれまで友達なんてほとんどいなかったの。紫乃が初めてなのよ、私の事信じてくれたのも、親友って呼びたいと思えたのも」

いつもは堂々としている彼女が珍しく不安そうに俯き加減で喋る。

「さっきはあの子達に親友って言ったけど、紫乃に親友なんかじゃないって言われたらどうしようかと思った。」

自嘲気味に話す彼女の目にうっすらと浮かんだ涙に私はたまらなくなって唯華に抱きついた。

「一限、さぼっちゃおっか」
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