冷たいキスなら許さない
身も凍るような冷たい声になすすべなくとぼとぼと櫂の部屋を出た。

何が起こったのか理解できない。
泣きながら櫂のマンションを出てひと駅分も歩いていた。
自分の部屋に帰っても櫂からの連絡はなかった。

翌日も翌々日も櫂からの連絡はない。

私も自分から櫂に連絡が取れないでいた。

『怖い』と思った。

あの日に初めて見た櫂の冷たい視線と罵声が耳について離れない。
男性に対する”底知れない恐怖”を人生で初めて感じていた。





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