毒舌年下BOY♂に愛を叫べ【仮】
それって……。

毎年一緒に行ってた秋祭りに、もう大馳とは一緒に行かないって言われたから?


それとも───。


「あー怖い怖い。怒られたし、俺は退散するかね〜。茜先輩はごゆっくり!」

「え……ちょ、タケくん」


"ファイト"

去り際、私にだけ分かるように、タケくんが口パクで告げた言葉に息を呑んだ。

いつもなら、大馳と2人きりなんて全然平気なのに、なぜか今日はタケくんに行かないでくれと縋りたくなっている自分に気づく。


と、同時に机に頬杖ついたまま、大馳が不意に視線を上げて私を見た。


「……はぁ。で?秋祭りの話だっけ?」

「あ……うん。一緒に行けたらいいなって思って来たんだけど。でも、もういい!」


もういいや。
なんか、今の流れで秋祭りに誘うとか、さすがにちょっと空気読めなすぎるって言うか。

神経図太すぎるって言うか。


「は?」

「いや、ほら!探せば私と秋祭りに行きたいって男は星の数ほどいるはずだし」

「いや、いねーだろ」

「なんなら、おひとり様秋祭りってのも斬新で良いかな〜って思ったり」

「それ、ただの寂しい女だろ」


───だって。
だって、誘えないよ。
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