全てを失っても手に入れたい女が居る

営業部を訪れていた時、上司から理不尽な叱責を受けてる女性社員を見つけた。
その場の誰もが他人事だと思ってる中、たまたま居合わせた部署違いの彼女だけが、躊躇する事なく立ち向かって行ったのだ。

そして、必要以上に事を荒立てず、立てるべき者は立て、その場を丸く納めた。
勿論、回りからの信頼も得た事だろう。

まだ日本にも、こんな女性が居たんだと嬉しく思った。と、同時に彼女の事が知りたいと思った。

そして翌日、社へ向かう電車の中で、スリをしようとしていた女子高生を正、俺の財布を守ってくれたのも彼女だった。

「あなた!
おしりのポケットに財布を入れて満員電車に乗るなんて、いくら日本が治安の良い国でも、ありえないでしょ!?」

確かに、日本だからという安心感が、俺の中には合ったんだと思う。
だからと言って、まさか俺にまで説教するとは思わなかった。

その上、彼女は
「お金をお尻に敷いてると、お金の神様に嫌われるわよ!?」と、面白い事をいった。

この時の俺は、既に恋に落ちていたのかもしれない。

何年ぶりかの出逢いに、俺の恋愛のセンサーは鈍感になっていた様だ。

まさかその彼女が、耀一の手配したくれた秘書で、俺の身の回りの世話をする為に現れるとは、思っても見なかった。
現れた時には、正直驚きはしたが、どこか気持ちが弾んだのは事実だ。




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