【先生×生徒シリーズ】優しい月 暗い海─私と先生─
「ねぇ…愛実…恋愛って難しいね」
「どうしたの?」
「ん~…」
私は顔を愛実に向ける。
「クラゲちゃん…恋愛ってね、追いかけてばかじゃダメなんだよ。自分が追いかけてたら、いつか相手は逃げて行く。だからたまには自分も逃げて、相手に追いかけてもらわなきゃ。恋愛ってそういうもんなんだよ」
「ふ~ん…でも私が逃げても追いかけて来るような人じゃないかも」
「クラゲちゃんの好きな人って誰?」
「誰にも言わない?」
「言わない」
「絶対に?」
「うん、絶対に」
「和泉先生…」
「えぇ!」
愛実が大声で叫ぶと、賑やかだったクラスが一瞬静まって皆の目線が一斉にこちらを向いた。
それを感じた愛実が私の方に身を屈める。