私に翼を
雨の中どうやって帰ったかなんて覚えてない。でも覚えているのはキミの家には……もう誰もいないってことを。

帰って来ると母がパタパタとスリッパを鳴らしながら玄関へ向かってくる。
「あんたぁ~どぉ~したんよ!!」
そう言って母は脱衣場からタオルを二、三枚目持ってくると身体を拭いてくれる。タオルからは柔軟剤、母からは晩ご飯らしき匂い。母が突然抱きしめる。
「何があったんかは……深く聞かんとく。でもなぁ、ちゃんとご飯食べよ?お風呂入って今日は寝な?」
母はそう言ってリビングに連れていく。「座りね?」と言われ椅子に座るキッチンからは母の料理の匂い。
キミも好きな鳥の唐揚げとポテトサラダがテーブルに並んでいた。母は「ほら」と言って箸を差し出す。
「あんたは、す~ぐ顔に出るからほんま分かりやすいなー。聞かんでもだいたい予想できるわぁ」
母は昔からほとんどのことを察してくれる。小さい頃近所の子と喧嘩してたとき頑なに理由を言わなかった。母は何も言ってないのに相手側に話してお互い悪いって感じになってお互い謝り丸く治まった。
何故わかったのかを聞くと「あんたのことなら分かるよ。だってワタシの子なんだから」と言った。

母は本当に何も聞かず黙々と晩ご飯を食べる。リビングには食器と時たま零れ落ちる水道の雫の音がやけに大きく聞こえた。
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