サヨナラから始まる恋
思い出せ、思い出せ!

なぜ私は、今龍樹くんにこんな風に追い詰められ、激怒の表情で凄まれているのか。



付き合ってた時、何かで怒られたことってあったっけ?

必死で混乱している頭を回転させた。

そうして思い出されるのは、前、龍樹くんが不機嫌になったときのこと。






ーー

『はぁ?』

一言目が、それだった。はぁ? なんて口が悪いんだ、と思いつつ、自分に非があるので『断れなくてゴメンなさい…』と素直に謝った。

こういうところがダメなんだと自分でも思う。

頼まれたら断れないところ。


『フツー、合コンって断れるだろ』

『要領悪くてゴメン…』


龍樹くんは、多分イライラしてる。

いつも要領悪い私を見てイライラしている……ような気がするから。


ハッキリ自分の意思を告げることができるし、尚且つ相手に嫌な思いをさせずに断ることができるスキルが龍樹くんにはあるけれど、私には皆無。



学生時代の友達から、

『合コン人数が足りないからどうしても来て欲しい! 一生のお願い!!』

なんて懇願されて断れなかった。

その気の弱さに、恐らくイライラされたんだ。


『つ、次は断る』

『次なんてあんのかよ』

『誘われたら……断る』


相当イラついていたのだろう。

私の前では気を使って、普段一切吸わないタバコ。話を始めて、表情を変えた瞬間、吸い始めた。
< 10 / 35 >

この作品をシェア

pagetop