臆病な背中で恋をした ~2
亮ちゃんが伝えてくれた想いをひとつひとつ胸の中で反芻しては。自分の中に溶かしていく。
わたしが亮ちゃんに向かって必死に手を伸ばし続けたように。亮ちゃんも自分に葛藤し続けてわたしに背を向けていた。

譲れない想いがどっちにもあって、わたしが折れても亮ちゃんが折れても。無傷ではいられないんだろうって思う。相手を傷付ける覚悟で。・・・そのことで自分も傷付く覚悟で。それでもわたしはどうしたいの・・・?

前を突き通すみたいな亮ちゃんの眼差しを見つめた。
今なにを思って、なにを考えてるのか。・・・教えて欲しいけど知るのが怖い。揺らぎなく今度こそ本気の別れを告げられたら。自分に問いかけて。

カタチになりかけの『答え』を胸の奥底にひとつ、そっと仕舞い込んだ。


ふと。こっちに流れた亮ちゃんの視線と交差する。見透かされたみたいで小さく心臓が跳ねたまま、わたしは目が離せない。そして亮ちゃんが言った。

「・・・このまま俺の部屋に来るか」

跳ねた心臓がそのまま躰を突き破って飛んでくかと思ったくらい、驚いたのが一番。あとは戸惑いと嬉しさと不安も。なんだかもう、頭の中もあちこち蒸気爆発してるみたいに。小さく頷くのが精一杯。


そこで亮ちゃんの『答え』がもらえるの・・・・・・? 掌をぎゅっと握りしめた。


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