クールな御曹司の本性は、溺甘オオカミでした
「お加減は?大丈夫なの?」
「とりあえず、大丈夫。尿管結石だったって」

尿管結石って、尿道の管に石ができてしまう病気?あれってすごい痛いんじゃなかったっけ。聞いた話だけれど。

「今は痛み止めと排出を促すために輸液を点滴されてるみたいだけど、明日の朝には退院できるって。本当にお騒がせしました。ごめんね!車まで出してもらって、申し訳なかったね。明日、出直すから」
「いえ、野々花さん。よろしければこのままお送りします。三時間ほどで到着しますので」

千石くんがハンドルをにぎりながら提案する。

「ご主人も早く野々花さんに会いたがっていると思いますし、病院に泊まれなければ顔だけ見せて、俺と真純さんと街場に宿をとればいい」
「うんうん、そうしなよ、野々花」

千石くんの提案に私がいち早く乗っかる。野々花は遠慮するだろうけれど、こんなに心配して動揺していた野々花だ。無事とわかっていても、早く顔を見たいに違いない。

「本当に何から何までありがとう」

安堵からか、野々花の声は涙声だ。鼻をすする彼女にペットボトルのコーヒーを渡す。

金曜の夜、思わぬ旅になってしまったけれど、友達の力になれたことは嬉しい。千石くんを巻き込んでしまった。その辺は私がしっかり御礼しよう。御礼する用事ばかりが増えていくなあ。

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