クールな御曹司の本性は、溺甘オオカミでした
無事病院に着き、野々花とはロータリーで別れた。到着前に問い合わせたところ、病院側はご主人のベッドの横に簡易ベッドを用意してくれると言う。
買っておいたコンビニのサンドイッチやおにぎりは彼女に渡した。売店も締まっているし、ここは山間の病院だ。徒歩圏内にコンビニはなかった。明日の朝まで飲まず食わずじゃ、野々花が具合悪くなってしまう。

病院を車で発進し、私自身も強烈な空腹を感じていた。それは千石くんも同じようだ。
しかし、山間の土地は道路こそ広く大きく、ホームセンターや衣料量販店や寿司店などは並ぶものの24時間営業のファミレスなどはない。野々花の旦那さんが新規出店で出向いているファミレスは、明日がグランドオープンのようで張り紙がしてある。

「コンビニくらいしかないですね」

現在時刻は23時半、とりあえずコンビニで野々花に手渡したようなメニューを買い込んだ。
運転席に千石くん、助手席に私。並んでおにぎりを食べてる。めちゃくちゃ変な感じだ。

「ありがとうね、千石くん。たいしたことなかったみたいだけど、野々花を連れてきてあげられて本当によかった」
「差し出がましいかと思ったんですが、結果よかったです」

千石くんがこちらを見てにこりと口角をあげる。

「真純さんには感謝してもらえるし、俺の車でふたりきりだし。いいことづくめですね」

ふたりきりという言葉にどきんと胸が高鳴る。そういえばそうだ。野々花のことで頭がいっぱいになっていたけれど、今、私は千石くんの車で見知らぬ土地にふたりきりなのだ。
このまま、また東京まで三、四時間のドライブ。
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