クールな御曹司の本性は、溺甘オオカミでした
*
4日間は矢のように過ぎた。単純に仕事が忙しかったこともあるけれど、私の頭の中がパニックで忙しかった。
千石くんとホテルでお食事。
どうしよう。絶対向こうやる気満々だ。絶対これを機に私とベッドイン狙ってる。
でもね、相手はこの会社の御曹司なの!イケメンで若くて仕事もできる上流ガイなの!
遊ばれてポイされる確率の高い恋愛に踏み切るかっつうの!
ポイ捨て後も私は彼が総務にいる限り上司。そんなの、辞表準備するしかないじゃないの。転職先探すしかないじゃないの。
私の心にはまだあの夏の夕暮れ時がある。東京タワーの優しい抱擁がある。
でも、それは目の前の千石くんとは別の話。あの時はあの時。一瞬の幻だったし、私もそれでいいと思ってる。変に運命とか思えるほど私が若くなくてよかったんだわ。
私は千石くんとは付き合わない。
それを確認できると、金曜には私の心も落ち着いた。しかも千石くんも私を構ってくる素振りがない。約束を取り付けたから満足しているとか?それとも、普通に仕事が忙しくって私のことなんかどうでもいい?
まあいい。それが普通の男よ。けして薄情じゃない。うん、気にしなくていいわ。
あんまりまめまめしいと、元カレの大翔じゃないけど浮気しやすそうだしね。いや、これは一般論。私と付き合ったらなんて妄想はしてない。
何度だって言うけど、千石くんとは付き合わない!