クールな御曹司の本性は、溺甘オオカミでした
4.あっちもこっちも面倒くさい



月曜日は憂鬱ではなかった。いっそもう清々しいくらいだ。
決めた。
世界が自分を中心に回っていると思っているらしい御曹司を、私は徹底的に拒否する。
土曜のデートは確かに美味しい食事とお酒をごちそうになった。おそらくこのままオゴリになるだろうこともわかる。でもね、だからって無理矢理キスしていいって法はないのよ。ふざけんな!!

ちょこっと美味しいものを与えて、いい雰囲気にすれば、ころっと落ちると思った?残念でした!三十女はそのくらいでほいほいベッドについていかないの!

阿木真純、怒っております。それはもう怒っております。
大人なので顔には出しませんが、千石孝太郎に関しては仕事以外はシャットダウンを決めました。

勇ましくマンションを出て、怒りに燃えながら職場へ到着。

「真純さん、おはようございます」

運悪く真っ先に出会ったのは千石くんだ。エントランスで一緒になってしまった。

「おはよう」

挨拶だけして彼の横をすり抜ける。だって、千石くん余裕の笑顔なんだもの。全然土曜のことを反省してないと見た!
階段を早足で登っていると、すぐに千石くんに追いつかれた。リーチの差だ。

「一緒に行きましょう」
「いいえ、別々で」
「土曜のこと怒ってますか?」

その声はどこか面白がっているようにも聞こえる。あなた、やっぱり私のこと馬鹿にしてるでしょう?四つも年上の仮にも上司を。
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