クールな御曹司の本性は、溺甘オオカミでした
「呼び出しだ!」

山根さんが小学生よりはしゃいだ声で言った。

「校舎裏に呼び出す女の先輩みたい!」
「山根、あんたそうじゃないでしょ!……真純先輩、これ個人的なあれですよね。彼女、先輩と接点あるんですか?」

私はぶんぶんと否定のために首を振った。
知らないわよ。顔を思いだすので精一杯の今年の新人だもの。

「何か心当たりはあるんですか?」
「……ない」
「私が一緒に行きましょうか!?同期ですし!」

山根さんが陽気に挙手するけれど、横手さんの要件がわからない以上動きづらい。

「いいわ。もしかすると、仕事の相談かもしれないし」

百パーセントそんなことはないだろうなと思いながら、私は答えた。
しかし、社内メールじゃなくて手紙って、断りづらいところをついてくるわね。

「そういえば、噂で聞いたんですけど、横手さん……だと思うんですけど、千石さんと親しいって吹聴してる子がいるみたいです」

持田さんが遠慮がちに言う。
うええ、もしかして呼び出しってそっち関係!?

「三角関係だ!修羅場の予感!」

山根さんがぴょんぴょんジャンプしながら無邪気に叫び、さすがに持田さんが山根さんの頭にチョップをめり込ませていた。


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