クールな御曹司の本性は、溺甘オオカミでした
「……もしかして、私と食事に行くって横手さんに言ったのは千石くん?」

恐る恐る聞くと千石くんは悪びれることもなく爽やかに答える。

「ええ、デートしたいと言うので『上司の阿木真純さんに本気で惚れてるから、愛梨とはデートも交際も結婚もできない』とはっきり」
「ばっっっかじゃないの!?」

思わず大人の仮面をぶっ壊して怒鳴っていた。
なんでそういこと言っちゃうのかなぁ!女なんてすぐに言いふらすわよ!自分にとって面白くないことなんて、あることないこと付け加えて!

「あなたと横手さんの問題に、私を巻き込むのはやめて。突然呼び出されて迷惑だわ」

必死に声を抑えて怒りを飲み込む。怒鳴っちゃ駄目。アラサーのヒステリーは駄目。
二十代同士の恋愛問題に巻き込まれただけで、ここは大人の対処をしないと格好悪すぎる。

「俺と愛梨にはなんの問題も起こってませんよ。俺は好きな人がいると主張しただけです。そして、俺があなたに惚れていて、いずれは交際したいと思ってることは、誰に知られても構いません」

私は構うっつうの。すごく困る。
部下で我が社の御曹司に求愛されてる事実も、それで若くて可愛い新入社員に恨まれてることも、私の会社員生活に大きく影響しそうでめちゃくちゃに困るわ。

「私は横手さんに言ったから。そんなつもりもないし、これからもないって」
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