深紅の薔薇姫に愛を
あたし達は他愛のない話ばかりしていた。

そういう時間が、今は幸せだと思える。………なんて、思ってるあたしを心底笑いた

い。こんなことを考えるあたしは相当ひねくれているな。

一行に降り止まない雨。

雨の日は友達を送って、他愛のない話をして。

それが世間一般での、”仲良し”というものだろうか。

…………もしも、そうだと言うのならあたしは変わったんだな。

あの女のせいで、あたしは唯一の居場所を失った。

あたしが生きてもいいと、言ってくれた人を失くした。

絶望のどん底にいたあたしを、さらに落としたのは彼らだった。

壊れかけのハートを砕いたのは、彼らだった。
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