キミへの想いは、この声で。

「はぁ……、大丈夫か?佐藤」


優乃ちゃんがその場からいなくなったところで、徳原くんは私にそうたずねる。


『なにが?』


「優乃、また変なことで騒いでたんだろ?」


そう言われ、私は少しだけ戸惑ってしまった。


『変なことというか……。

颯太くんが私の頭に乗せていたその手を優乃ちゃんが払い退けたってだけの話だよ』


「手?なんで颯太が手を乗せてたんだ?」


理由を問い詰められ、じわりと顔が熱くなるのを感じた。


『なんか……、その……、触れたくなったって……、それで頭撫でられたというか……』


手話で伝えることもなんだかすごく恥ずかしくて、途切れ途切れになってしまう。


「……」


徳原くんはなぜか無言になってしまい、その場に沈黙だけが流れた。

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