キミへの想いは、この声で。

「……あのさ、茜ってピンク色好きだったよな?」


「え?うん」


……そういえば、転校してきてまもない頃にそんなこと話したような……。


「これ……、よかったら使って」


そう言われ、ビニール袋を差し出される私。


戸惑いながら、それを受け取り中身を確認すると、可愛いラッピングを施された袋の中に、ピンク色のシンプルなデザインのハンカチが入れられていた。


「このハンカチ可愛い……。でも、どうして私に……?」


ハンカチから颯太くんに視線を戻すと、颯太くんは少しだけ頬を赤らめながら、照れるように言った。


「今日……、ホワイトデーだろ?

だから……、その……チョコのお返し」


私のことをこれっぽっちも見ずにそう答える彼。

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