キミへの想いは、この声で。

「失礼しました」


クルリと向きを変えると、俺は軽く頭を下げて、静かに扉を閉めた。


懇談のことで、お昼休みに職員室に来るよう呼び出されたんだ。


用を済ませた俺は、自分の教室に戻るべく、階段を一段上ろうとした。


だけどそのとき、たまたまその横を通りすぎた人がいて……。


「佐藤さん!?なにしてるの?」


そう、それはまさかの佐藤さんだった。


彼女は俺の声にビクッと肩を震わせると、たくさんの段ボール箱とともに、こちらを振り返った。


その姿がなんとも弱々しそうで、見ていられなかった俺は彼女から三つほど箱を横取りした。


そんな俺の行動に、かなり驚いた様子の彼女。

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