キミへの想いは、この声で。

「……いや、ほら。

いくらなんでも、ひとりでこんなにたくさんの段ボール箱を持つのは大変だと思って」


「……」


「……手伝うよ」


彼女の意思も聞かずに、俺は勝手に話を進める。


「これ、どこに運んだらいいの?」


俺がそう質問すると、彼女は一瞬困った顔を見せ、ためらいながらも俺の前をスタスタと歩きだした。


運ぶ場所まで案内してくれるってことか……。


……頭いいな。


両手が塞がっている今、手話もできないしどう伝えてもらうかと悩んだけど、彼女のほうが一枚上手 (うわて) だったみたい。


俺はそんな彼女の後ろをゆっくりとついていった。





「ここ?」


俺が問いかけると、彼女は静かに頷く。


俺たちは今、理科室の前にやってきていた。

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