キミへの想いは、この声で。
「……いや、ほら。
いくらなんでも、ひとりでこんなにたくさんの段ボール箱を持つのは大変だと思って」
「……」
「……手伝うよ」
彼女の意思も聞かずに、俺は勝手に話を進める。
「これ、どこに運んだらいいの?」
俺がそう質問すると、彼女は一瞬困った顔を見せ、ためらいながらも俺の前をスタスタと歩きだした。
運ぶ場所まで案内してくれるってことか……。
……頭いいな。
両手が塞がっている今、手話もできないしどう伝えてもらうかと悩んだけど、彼女のほうが一枚上手 (うわて) だったみたい。
俺はそんな彼女の後ろをゆっくりとついていった。
*
「ここ?」
俺が問いかけると、彼女は静かに頷く。
俺たちは今、理科室の前にやってきていた。