キミへの想いは、この声で。
足早に歩いても、みんなからの視線は痛くて仕方なかった。
ようやく自分の席へとやってきた私は、机の上にランドセルをそっと置いた。
中からなにかを取り出したりはせず、俯きかけたそのとき──……。
「茜って言うの?」
ボソッと聞こえたその声に、驚いて顔をあげると、隣の席の男の子がニコニコしながら、こちらを見ていた。
パッチリ二重に、クリクリとした大きな瞳、まん丸とした輪郭。童顔という言葉がよく似合う男の子だった。
「俺、川島颯太 (かわしま そうた) !
これから、よろしくな!」
ひそひそ話でもするかのように、本当にボソッと、彼は自分の名前を名乗った。
……なんで?
どうして、話しかけてくるの?
さっきの話を聞いたら、私と関わりたくないって思うはずでしょ……?
なのに……、どうして?
疑問を抱きながらも、その言葉に頷いたりはせず、私は先生の説明に耳を傾けた。