キミへの想いは、この声で。

……早く風呂行きたいからって、自分の息子に食器洗い押しつけるか?フツー……。


俺は洗濯物をたたみ終えると台所に移動した。


濡れてしまわないように袖を捲った俺は、スポンジにぬるま湯と洗剤をつけ、汚れたお皿をゴシゴシと落としていった。


ふいにさっきの佐藤さんの話を思い出す。


……佐藤さん、上履きを洗ったとき、どんな気持ちで洗ってたのかな。


絶対、今にも泣きたくなるほど、辛かっただろうな……。


俺は手を止めるとスポンジをギュッと強めに握りしめた。


いつもよりゆっくりと溢れてくる泡が、佐藤さんの悲しみを訴えているかのようだった。


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