カフェオレ。
第1章
____ポチッ




出来上がったデータを確認して、それを依頼してきた業者に送信する。



その瞬間に、仕事を終えたという現実感が一気に押し寄せた。





「はぁー」





女とは思えない盛大なため息が口から零れる。


背伸びをすれば、『バキボキ』という酷い音が体から鳴った。





「疲れた……」





背もたれに寄りかかって、そう呟く。


そして、手探りでマグカップを見つけて持ち上げる。

中身のカフェオレを一気飲みした。



すると、疲れた体に甘さが染み渡っていく。


それに幸福感を感じながら、体を起こしてパソコンを見つめ直した。




廣原 涼(ひろはら すず)。


大学を卒業して2年目の24歳。

仕事柄、若干引きこもりがちだがイラストレーターとして生活できるほど稼いではいる。





「……あ、飲み会忘れてた」





そして、仕事と自分しか愛せないイタイ奴だ。
< 4 / 5 >

この作品をシェア

pagetop