DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―

「四つがそろったんですね」



ストリートライヴの時間は心地よく流れていった。


気付いたら、終わりの時間が訪れていた。



すっかり暗くなって、気温も落ちた。


姉貴は、肩に引っ掛けてただけのカーディガンの袖にキッチリ腕を通した。



ちょうどスポットライトみたいな外灯に照らされた瑪都流《バァトル》のメンバーは、まだ上着も羽織らずに、腕まくりまでしている。


激しい動きをしてるようには見えなかったけど、音楽をやるのは、それだけで体の熱くなるアクションなんだろう。



文徳《ふみのり》のまわりにはちょっとガラが悪めのファンが集まってて、そこに近付けないフツーの子たちを亜美がフォローしてやってて、牛富と雄のとこではマニアックでコアなおっさんたちが話し込んでる。


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