DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
そうしていた時間は、数十秒ってところか。
青い光が引いた。煥の腕から傷が消えている。
鈴蘭は肩で息をして、煥を見上げた。
「もしまた煥先輩がケガをしたら、私が治します。本当は、さっきみたいな危ないこと、してほしくないんですけど」
「反撃しなきゃ、やられてた。仕方なかっただろ」
「わかってます。だけど……」
鈴蘭は言葉が続かない。
煥はしかめっ面でそっぽを向いて、ぶっきらぼうに言った。
「……治療、ありがとう」
「えっ、あ、いえ、このくらいしかできないから、わたしっ」
鈴蘭は目を大きく見張って、小さな手で口元を覆った。
暗くてよくわかんないけど、たぶん真っ赤になってる。
そっぽ向いたっきりの煥も、きっと同じだ。
何か非常に雰囲気がよろしいようで。