DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
親父が声を振り絞る。
「伝わらないのかなあ……
何を差し置いても手に入れたいものがたくさんあったのは、妻がいて、子どもたちがいたからで、不自由のない暮らしをさせたいと思った。おまえたちを思えばこそ」
【嘘だ】
「おまえたちのために、私は働いてきたし、願ってきたし、手に入れてきた。必死でやってきたつもりだ。
何が私のいちばん大事なものなのか、私の原動力なのかと問われれば、やはり答えは一つだ。愛する家族のため、と答えたい」
【嘘だ! 今さら何を抜かしてんだよ、テメーは!】
聞きたくない。信じたくない。
拒みたい。憎みたい。