DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
ふと。
ファミレスの店員の「いらっしゃいませー」にピンと来て、おれは問題集から顔を上げた。
勘が当たった。
八月最初の月曜日、夕方四時の空調が生ぬるいファミレスに入ってきたのは、文徳《ふみのり》と海牙だ。
おれが手を挙げて合図すると、二人ともそれぞれの仕草で手を挙げて応えた。
「遅いよ~、二人とも。数学の課題、フォローしてくれるって言ったじゃん。時間ないよー。これ、夜の待ち合わせまでに終わんねえって」
「悪い悪い。こっちの用事が予想以上に時間かかっちゃってさ」
「意外とまじめなんですね、リヒちゃんは」